数学チャート式の選び方完全ガイド|レベル別おすすめと効果的な使い方

Last Updated on 2025年12月22日 by ゆるっと先生

数学の勉強で迷ったら、まず頭に浮かぶのが「チャート式」ではありませんか。白チャート、黄チャート、青チャート、赤チャートと、色分けされた参考書が書店に並んでいますが、実際どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。

チャート式は数研出版が発行する数学参考書のベストセラーで、多くの高校生や受験生に愛用されています。しかし、自分のレベルに合わないものを選んでしまうと、せっかくの努力が無駄になってしまうことも。

この記事では、教育アドバイザーの視点から、チャート式の選び方から効果的な使い方まで、あなたが知りたい情報を詳しく解説していきます。塾選びの前に、まずは自分に合った参考書選びから始めてみませんか。

チャート式とは何か

チャート式数学は、数学の学習参考書として長年にわたり多くの学生に支持されてきました。色分けされた表紙が特徴的なこのシリーズは、基礎から応用まで幅広いレベルに対応しています。まずはチャート式の基本的な特徴と、なぜこれほど人気があるのかを理解していきましょう。

チャート式の歴史と特徴

チャート式は、数研出版が1929年に初版を発行して以来、90年以上の歴史を持つ数学参考書です。「チャート」という名前の由来は、海図(chart)のように数学の世界を案内するという意味が込められています。

この参考書の最大の特徴は、問題パターンの網羅性にあります。定期テストから大学入試まで、あらゆる場面で出題される問題パターンが体系的に整理されているため、効率的に学習を進めることができます。また、例題と練習問題がセットになっており、理解したことをすぐに確認できる構成も魅力です。

各問題には詳しい解説が付いているため、独学でも理解を深めやすい設計になっています。指針(どのように考えて解くか)が示されているので、ただ答えを覚えるのではなく、数学的な思考力も養えます。多くの進学校や予備校でも採用されており、信頼性の高い教材として評価されています。

時代とともに改訂を重ね、最新の入試傾向にも対応し続けているのもチャート式の強みです。共通テスト対策から難関大学の二次試験対策まで、幅広いニーズに応えられる内容となっています。

色による難易度の違い

チャート式の最も分かりやすい特徴が、色による難易度の区分です。白、黄、青、赤の4色展開で、それぞれ明確なレベル設定がされています。この色分けシステムにより、自分の実力に合った参考書を選びやすくなっています。

難易度対象レベルおすすめの人
白チャート基礎偏差値40〜55数学が苦手、基礎から学び直したい
黄チャート標準偏差値50〜65教科書レベルは理解できている
青チャート応用偏差値60〜70国公立大学や難関私大を目指す
赤チャート発展偏差値65以上東大・京大など最難関大学を目指す

白チャートは教科書の基礎レベルから始まり、数学に苦手意識がある人でも取り組みやすい内容です。定期テストで平均点を取れるようになることを目標としています。黄チャートは教科書の応用問題レベルで、中堅大学を目指す人に最適です。

青チャートは入試標準レベルから難関レベルまでカバーしており、最も売れているシリーズです。国公立大学の二次試験や、MARCHなどの難関私大を目指す人に支持されています。赤チャートは最難関レベルで、東京大学や京都大学、医学部などを目指す人向けの内容となっています。

自分のレベルより1段階上のチャートを選んでしまうと、挫折する可能性が高くなります。まずは現在の実力を正確に把握し、適切な色を選ぶことが成功への第一歩です。

他の参考書との比較

数学の参考書市場には、チャート式以外にも多くの選択肢があります。Focus Gold(フォーカスゴールド)は啓林館が発行する参考書で、青チャートと同レベルの内容ですが、より詳しい解説が特徴です。問題数も多く、網羅性ではチャートを上回ります。

1対1対応の演習(東京出版)は、入試頻出パターンに絞った問題集で、効率重視の学習に適しています。チャートよりも問題数は少ないですが、典型問題の理解を深めることに特化しています。難関大学を目指す人の2冊目としてもよく選ばれます。

基礎問題精講・標準問題精講(旺文社)は、レベル別に分かれており、コンパクトにまとまっているのが利点です。チャートよりも薄いため、短期間で仕上げたい人に向いています。ただし、網羅性ではチャートに劣ります。

チャート式の強みは、網羅性と解説の丁寧さのバランスにあります。また、長年の実績により多くの先生や先輩が使っているため、質問しやすい環境が整っているのも大きなメリットです。塾や予備校でも教材として採用されているケースが多く、学習計画が立てやすいという利点もあります。どの参考書を選ぶかは個人の学習スタイルによりますが、初めての受験勉強ならチャート式から始めるのが無難な選択といえます。

レベル別チャート式の選び方

自分に合ったチャート式を選ぶことは、効率的な学習の第一歩です。背伸びして難しいものを選ぶよりも、確実に理解できるレベルから始めることが、最終的には成績向上の近道になります。ここでは、各色のチャートがどのような人に適しているか、具体的に見ていきましょう。

白チャートが向いている人

白チャートは、数学の基礎から丁寧に学び直したい人に最適な参考書です。数学が苦手で定期テストでも平均点に届かない、公式の使い方があいまいという人は、まず白チャートから始めることをおすすめします。

具体的には、数学Ⅰの二次関数の最大値・最小値が分からない、三角比の基本的な計算でつまずくといったレベルの人に適しています。教科書の例題レベルからスタートし、基本的な解法パターンを一つずつ確実に身につけていくことができます。

白チャートの特徴は、ステップが細かく設定されている点です。いきなり難しい問題に挑戦するのではなく、易しい問題から段階的にレベルアップしていく構成になっています。解説も非常に丁寧で、なぜそのように考えるのか、どの公式を使うのかが明確に示されています。

日東駒専レベルの大学や、地方の国公立大学を目指す人にも白チャートは有効です。基礎を固めることで、その後の応用問題にも対応できる力が養われます。また、文系で数学が必須科目だが得意ではないという人にとっても、白チャートは心強い味方となります。時間をかけてでも基礎を完璧にすることが、結果的に合格への最短ルートになることも多いのです。

黄チャートが向いている人

黄チャートは、教科書の内容は理解できているが、入試問題には不安があるという人に最適です。定期テストで平均点以上は取れるけれど、模試になると点数が伸びないという悩みを持つ人によく選ばれています。

具体的なレベルとしては、MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)や関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)の一般入試に対応できる実力を養成できます。また、地方国公立大学の二次試験対策としても十分な内容です。

黄チャートの問題レベルは、教科書の章末問題から入試基礎レベルまでをカバーしています。数学Ⅱの微分・積分の応用問題や、数学Bのベクトルの標準的な問題にしっかり対応できるようになります。白チャートよりも問題数が多く、より幅広いパターンに触れることができます。

理系で中堅大学を目指す人や、文系で数学を得点源にしたい人には、黄チャートがバランスの取れた選択です。また、青チャートに挑戦したいけれど、まだ基礎に不安があるという人の橋渡し的な位置づけとしても機能します。無理なく実力を伸ばしていきたい人に、黄チャートは最適な難易度といえます。

青チャートが向いている人

青チャートは、難関大学を目指す人のスタンダードとして広く認知されています。国公立大学の二次試験や、早慶上智などの難関私立大学の入試に対応できる力を養成できる内容です。

このレベルに取り組むべき人は、定期テストで常に上位の成績を収めており、基礎的な問題には自信がある人です。数学Ⅲの複素平面や複雑な積分計算、数学Bの数列の応用問題などにも対応できる実力を目指します。

青チャートの問題は、入試の標準レベルから難関レベルまで幅広くカバーしています。例えば、東京大学や京都大学の過去問でも、基本的な問題であれば青チャートで学んだ解法で対応できます。また、医学部を目指す人にとっても、青チャートは必須の教材といえます。

  • 東京工業大学一橋大学などの難関国公立を目指す理系・文系
  • 早稲田大学理工学部慶應義塾大学理工学部などの難関私大理系
  • 医学部医学科を目指す人(国公立・私立問わず)
  • 数学を得点源にしたい全ての受験生

上記のような目標を持つ人には、青チャートが最適な選択となります。ただし、基礎が固まっていない状態で青チャートに取り組むと、理解が浅くなり時間の無駄になる可能性があります。まずは教科書の例題レベルを完璧にしてから、青チャートに進むことをおすすめします。

赤チャートが向いている人

赤チャートは、最難関大学を目指す人のための最終兵器です。東京大学、京都大学、東京工業大学などのトップレベルの国公立大学や、難関医学部を志望する人に適しています。

赤チャートに取り組むべき人は、すでに青チャートレベルの問題を8割以上正解できる実力がある人です。基礎から標準レベルの問題は完璧にこなせる状態で、さらに数学的思考力を極めたいという強い意志がある人に向いています。

内容的には、大学入試で出題される問題の中でも最難関レベルの問題を扱っています。例えば、東京大学の理系数学で出題されるような、複数の分野を組み合わせた総合問題や、発想力を要する問題にも対応できる力を養います。

赤チャートの使い方として注意すべき点は、全ての問題を完璧にする必要はないということです。最難関大学でも、赤チャートの全ての問題が解ける必要はありません。自分の志望校の過去問を分析し、必要な問題を選んで取り組むという使い方が効果的です。

また、赤チャートは数学オリンピックを目指す人や、大学に入ってから数学を専門的に学びたい人にとっても、良い教材となります。ただし、受験勉強の効率性を考えると、ほとんどの人は青チャートまでで十分です。自分の目標と実力を冷静に見極めて、本当に赤チャートが必要かを判断することが大切です。

効果的なチャート式の使い方

どんなに良い参考書でも、使い方を間違えると効果は半減してしまいます。チャート式は正しい方法で継続的に使うことで、最大の効果を発揮します。ここでは、実際に成績を上げている人が実践している効果的な学習法を紹介します。

基本的な学習の進め方

チャート式を使った学習は、例題の理解から始めるのが基本です。まず例題を読み、解法の流れを理解します。この時、すぐに練習問題に進むのではなく、例題の解説をしっかり読み込むことが重要です。

具体的な学習ステップは以下のようになります。まず、例題を自力で解いてみることから始めます。分からなければ、すぐに解答を見るのではなく、5分程度は考える時間を取りましょう。それでも分からない場合は、解答の最初の部分だけを見て、ヒントを得てから再度挑戦します。

解答を見た後は、なぜその解法を使うのかを理解することが大切です。チャート式には「指針」という項目があり、どのように考えて解くかが示されています。この指針をしっかり読み、問題を見た時にどの解法を選ぶべきかを判断できるようになることが目標です。

例題が理解できたら、すぐに練習問題に取り組みます。例題で学んだ解法をそのまま使えるようになっているので、確実に身につけることができます。もし練習問題が解けなかった場合は、もう一度例題に戻って理解を深めましょう。

ステップ内容目安時間
1. 例題を読む問題文と指針を確認2分
2. 自力で解く分からなくても5分は考える5〜10分
3. 解答確認解法の流れを理解する5分
4. 練習問題例題と同じパターンで解く10分
5. 復習翌日もう一度解く5分

この流れを1日に5〜10例題を目標に進めていくのが理想的です。無理に多くの問題をこなすよりも、確実に理解しながら進めることが大切です。

復習のタイミングと方法

チャート式の学習で最も重要なのが適切な復習です。一度解いただけでは、時間が経つと忘れてしまいます。効果的な復習サイクルを確立することで、長期記憶として定着させることができます。

おすすめの復習タイミングは、学習した翌日、1週間後、1ヶ月後の3回です。エビングハウスの忘却曲線によると、人は学習した内容の多くを24時間以内に忘れてしまいます。そのため、翌日の復習が最も重要です。

翌日の復習では、前日に解いた例題をもう一度解いてみます。この時、解答を見ずに自力で解けるかを確認します。スラスラ解けなかった問題には印をつけておき、重点的に復習します。1週間後の復習では、印をつけた問題を中心に取り組みます。

1ヶ月後の復習は、定着度の最終確認です。ここで確実に解けるようになっていれば、その問題パターンは完全に身についたといえます。まだ怪しい問題は、さらに反復して練習します。

  • 間違えた問題には付箋を貼るか、ノートに問題番号を記録する
  • 解けた問題にはチェックマークをつけ、3回連続で正解したら完了とする
  • 苦手な単元は、例題だけでなく練習問題も繰り返し解く
  • 定期的に模試レベルの問題を解いて、実力を確認する

これらの方法を組み合わせることで、効率的に復習を進めることができます。復習は新しい問題を解くよりも地味に感じるかもしれませんが、復習こそが成績向上の鍵であることを忘れないでください。

つまずいた時の対処法

チャート式を進めていると、必ず理解できない問題に出会います。そんな時にどう対処するかが、その後の学習効率を大きく左右します。間違った対処法を取ると、挫折の原因になってしまいます。

まず大切なのは、分からない問題で長時間悩み続けないことです。15分考えても糸口が見つからない場合は、いったん解答を見ましょう。ただし、解答を見る時は、答えだけでなく解法のプロセス全体を理解することが重要です。

解答を読んでも理解できない場合は、前の単元に戻る必要があるかもしれません。例えば、数学Ⅱの微分でつまずいている場合、数学Ⅰの関数の理解が不十分な可能性があります。恥ずかしがらずに、基礎に戻って学び直すことが大切です。

また、別の参考書や動画教材を活用するのも有効な方法です。スタディサプリやYouTubeの解説動画などで、同じ単元を別の視点から学ぶことで、理解が深まることがあります。特に苦手な分野は、複数の教材で学ぶことをおすすめします。

どうしても理解できない時は、学校の先生や塾の先生に質問することも重要です。質問する際は、「どこまで理解できて、どこから分からないのか」を明確にしておくと、的確なアドバイスがもらえます。オンライン家庭教師サービスなども、つまずいた時の強い味方になります。

時期別の活用戦略

チャート式の使い方は、受験までの時期によって変える必要があります。高校1年生と高校3年生では、取り組むべき内容が異なります。効率的な学習計画を立てることが、合格への近道です。

高校1年生の春から夏の時期は、じっくりと基礎を固める期間です。数学Ⅰ・Aを中心に、自分のレベルに合ったチャートを1冊完璧にすることを目標にします。焦らず、一つ一つの問題を確実に理解していくことが大切です。

高校2年生になったら、数学Ⅱ・Bに取り組みます。この時期は部活動や学校行事も忙しいですが、毎日少しずつでも継続することが重要です。1日30分でも良いので、チャートを開く習慣をつけましょう。夏休みや冬休みなどの長期休暇を利用して、苦手分野を克服します。

高校3年生の春は、数学Ⅲに入る理系と、復習に専念する文系で戦略が分かれます。理系は新しい内容を学びながら、数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bの復習も並行して行います。文系は、既習範囲の完成度を高めることに集中します。

夏休みは受験の天王山です。この時期に、チャートの2周目に取り組み、解けなかった問題を中心に復習します。また、志望校の過去問も少しずつ始め、自分の弱点を把握します。秋以降は、過去問演習を中心に、チャートは辞書的に使うようにシフトしていきます。苦手な分野や忘れている分野だけをピンポイントで復習する使い方が効果的です。

チャート式と併用すべき教材

チャート式だけで受験勉強を完結させることも可能ですが、他の教材と組み合わせることで、より効率的に実力を伸ばすことができます。特に共通テスト対策や、志望校に特化した対策では、専用の教材が有効です。適切な教材の組み合わせを知ることで、無駄のない学習計画が立てられます。

共通テスト対策の教材

共通テストの数学は、チャート式で学んだ知識を使いますが、時間配分や問題形式に慣れる必要があります。そのため、共通テスト専用の問題集と併用することをおすすめします。

「共通テスト実戦問題集」(駿台文庫)は、本番レベルの問題が豊富に収録されています。各予備校が出版している実戦問題集を、複数解くことで、様々なパターンの問題に対応できるようになります。河合塾、駿台、代々木ゼミナールなど、それぞれ特色があるので、2〜3冊を解くのが理想的です。

「きめる!共通テスト数学」(学研プラス)は、解法のコツや時短テクニックが詳しく解説されており、効率的な解き方を身につけられます。共通テストでは、正確さだけでなく速さも重要なので、このような実践的な参考書が役立ちます。

共通テスト対策は、高3の夏以降に本格的に始めるのが一般的です。それまではチャートで基礎力をつけ、夏休み明けから共通テスト形式の問題に慣れていきます。過去問や予想問題を解く時は、必ず時間を測って取り組み、本番と同じ緊張感を持って解くことが大切です。

  • 数学ⅠAは70分、数学ⅡBCは70分の制限時間を意識する
  • マークシートの練習も定期的に行う
  • 誘導形式の問題に慣れるため、過去問を最低5年分は解く
  • 間違えた問題は、チャートで類題を探して復習する

このように、チャートで基礎を固め、共通テスト対策問題集で実践力をつけるという二段構えの学習が効果的です。

二次試験・個別試験対策の教材

国公立大学の二次試験や難関私大の個別試験では、記述式の答案作成能力が問われます。チャート式で解法を学んだ後は、実際に答案を書く練習が必要です。

「1対1対応の演習」(東京出版)は、入試頻出パターンに絞った問題集で、青チャートを終えた後に取り組むのに最適です。解説が非常に詳しく、別解も豊富に掲載されているため、数学的な思考力を鍛えることができます。東京大学や京都大学などの最難関大学を目指す人には必須の教材といえます。

「やさしい理系数学」「ハイレベル理系数学」(河合出版)は、理系の難関大学志望者に人気のシリーズです。「やさしい」という名前ですが、実際は青チャートよりも難易度が高く、東京工業大学や大阪大学レベルの問題が中心です。

志望校の過去問は、最も重要な教材です。赤本(教学社)や青本(駿台文庫)で、最低でも10年分は解くことをおすすめします。過去問を解く際は、ただ解くだけでなく、出題傾向を分析することが大切です。

志望校レベルおすすめ教材使用時期
MARCH・関関同立黄チャート + 過去問高3の春〜
地方国公立青チャート + 過去問高3の夏〜
早慶・旧帝大青チャート + 1対1 + 過去問高3の夏〜
東大・京大・医学部青or赤チャート + やさ理 + 過去問高3の秋〜

このように、志望校のレベルに応じて、適切な教材を選ぶことが合格への近道です。

苦手分野克服のための補助教材

誰にでも苦手な分野はあります。チャート式で何度も復習しても理解できない単元がある場合は、その分野に特化した補助教材を使うのが効果的です。

例えば、ベクトルが苦手な人には「ベクトルが面白いほどわかる本」(KADOKAWA)のような単元別の参考書があります。イラストや図解が豊富で、視覚的に理解しやすい構成になっています。数学が苦手な人でも取り組みやすい内容です。

確率が苦手な人には、「ハッとめざめる確率」(東京出版)がおすすめです。確率の本質的な考え方から解説されており、なぜその解法を使うのかが腹落ちする内容になっています。単なる暗記ではなく、理解に基づいた学習ができます。

動画教材も非常に有効です。スタディサプリでは、単元別に授業が分かれており、苦手な部分だけをピンポイントで学習できます。特に、関正生先生や堺義明先生の授業は、わかりやすいと評判です。通学時間などのスキマ時間を活用して視聴することもできます。

YouTubeでも質の高い数学の解説動画が増えています。「ヨビノリ」や「予備校のノリで学ぶ数学」などのチャンネルは、大学受験レベルの内容を分かりやすく解説しています。無料で利用できるので、まずは試してみる価値があります。

苦手分野の克服には時間がかかりますが、諦めずに複数のアプローチを試すことが大切です。一つの教材で理解できなくても、別の教材や動画で説明を聞くと、突然理解できることもよくあります。

問題集の組み合わせ方

チャート式を中心に、他の問題集をどう組み合わせるかは、学習計画の重要なポイントです。やみくもに多くの問題集に手を出すと、どれも中途半端になってしまいます。

基本的な考え方は、「基礎→標準→応用」という流れで教材を選ぶことです。例えば、標準レベルの大学を目指す人なら、「白or黄チャート」で基礎を固め、「共通テスト対策問題集」で標準レベルを押さえ、「過去問」で志望校対策をするという流れです。

難関大学を目指す人は、「青チャート」→「1対1対応の演習」→「やさしい理系数学」→「過去問」というように、段階的にレベルを上げていきます。ただし、これらを全て完璧にする必要はありません。過去問の傾向を見て、必要な教材だけを選ぶことが大切です。

問題集を選ぶ際の注意点として、解説が詳しいものを選ぶことが重要です。問題数が多くても、解説が不十分だと独学では理解が難しくなります。また、自分のレベルに合っているかを確認するため、書店で実物を見てから購入することをおすすめします。

  • 1冊を3周以上繰り返すことを目標にする
  • 新しい問題集を始める前に、今使っている問題集の完成度を確認する
  • 問題集は3冊以内に絞り、確実に仕上げる
  • 苦手分野だけは、別途教材を追加しても良い

このように、計画的に教材を組み合わせることで、効率的に実力を伸ばすことができます。

塾・予備校とチャート式の関係

チャート式は独学でも使える参考書ですが、塾や予備校と併用することで、さらに効果を高めることができます。逆に、塾に通っていてもチャート式を使わないのはもったいないことです。ここでは、塾・予備校とチャート式をどう組み合わせるかを考えていきます。

独学でチャート式を使う場合

経済的な理由や、自分のペースで学習したいという理由から、独学を選ぶ人も増えています。チャート式は独学に適した参考書ですが、いくつかの注意点があります。

まず、学習計画をしっかり立てることが重要です。塾に通っていれば自然とカリキュラムに沿って進みますが、独学では自分で計画を立てる必要があります。例えば、「3ヶ月で数学Ⅰの青チャートを終わらせる」といった具体的な目標を設定します。

1日に進める量を決め、毎日継続することが成功の鍵です。例えば、「平日は例題5題、休日は10題」というように、無理のない範囲で設定します。達成できたらカレンダーにチェックを入れるなど、可視化すると継続しやすくなります。

独学で困るのが、質問できる相手がいないことです。この問題を解決する方法として、以下のような選択肢があります。

  • 学校の先生に質問する(放課後や休み時間を活用)
  • スタディプラスなどの学習SNSでコミュニティに参加する
  • オンライン家庭教師サービス(トライやメガスタなど)を部分的に利用する
  • YouTubeの解説動画を活用する

また、独学ではモチベーションの維持が課題になります。定期的に模試を受けて、自分の実力を客観的に把握することが大切です。河合塾の全統模試や駿台模試などを受験し、偏差値の推移を記録することで、成長を実感できます。

独学のメリットは、自分のペースで進められることと、費用を抑えられることです。デメリットは、サボってしまいやすいことと、質問できる環境が限られることです。これらを理解した上で、独学を選ぶかどうかを決めましょう。

塾でチャート式を活用する方法

多くの塾や予備校では、チャート式を副教材として指定しています。塾のテキストとチャート式をどう使い分けるかが、効率的な学習のポイントです。

塾の授業では、重要なポイントや難しい問題を中心に解説が行われます。そこで学んだことを、チャート式で類題を解いて定着させるという使い方が効果的です。例えば、塾で微分の授業を受けたら、帰宅後にチャート式の微分の章を復習します。

河合塾駿台予備校などの大手予備校では、オリジナルテキストが用意されていますが、それでもチャート式を併用する生徒は多いです。テキストだけでは問題数が不足する場合や、苦手な分野を強化したい時に、チャート式が役立ちます。

個別指導塾では、チャート式を使ってマンツーマンで解説してもらえることもあります。東京個別指導学院やTOMAS(トーマス)などでは、生徒が持参した問題集を使って指導を受けられます。分からない問題だけをピンポイントで質問できるのが、個別指導のメリットです。

塾のタイプチャート式の活用法メリット
集団塾授業の復習用習ったことをすぐに定着できる
個別指導質問教材として分からない問題を直接聞ける
映像授業並行して進める自分のペースで両方活用できる
家庭教師メイン教材として1対1で丁寧に解説してもらえる

塾とチャート式を併用する最大のメリットは、分からない問題をすぐに解決できることです。独学では理解に時間がかかる問題も、先生に質問すればすぐに理解できることが多いです。

おすすめの塾・予備校

数学の成績を上げるために、どの塾や予備校を選ぶかは重要な決断です。チャート式を効果的に活用できる指導を行っている塾を選ぶことで、より効率的に学習できます。

河合塾は、大手予備校の中でも数学の指導に定評があります。特に難関大学向けのクラスでは、レベルの高い講師が揃っており、青チャートや赤チャートレベルの問題にも対応できる力を養成できます。模試の質も高く、全統模試は多くの受験生が受験しています。

駿台予備校は、理系に強い予備校として知られています。東京大学や京都大学、医学部を目指す生徒が多く集まり、ハイレベルな環境で学習できます。駿台模試は難易度が高く、実力を正確に測ることができます。

東進ハイスクールは、映像授業が特徴の予備校です。有名講師の授業を何度でも視聴できるため、理解できるまで繰り返し学習できます。チャート式と並行して進めやすく、自分のペースで学習したい人に向いています。

個別指導では、東京個別指導学院個別教室のトライなどが全国展開しています。チャート式の分からない問題を持ち込んで、マンツーマンで解説してもらえるのが魅力です。苦手分野を集中的に克服したい人におすすめです。

オンライン塾も増えており、スタディサプリZ会などが人気です。費用を抑えながら質の高い授業を受けられます。特にスタディサプリは、月額2,000円程度で有名講師の授業が見放題なので、コストパフォーマンスに優れています。

学習サポートサービスの活用

塾に通う以外にも、様々な学習サポートサービスを活用することで、チャート式の学習効果を高めることができます。最近では、テクノロジーを活用した新しいサービスも登場しています。

スタディプラスは、学習記録アプリとSNSが一体となったサービスです。毎日の勉強時間を記録し、同じ目標を持つ仲間と励まし合うことができます。チャート式を何ページ進めたかを記録し、可視化することでモチベーションが上がります。

Studyplus for Schoolを導入している塾では、先生が生徒の学習状況を把握し、適切なアドバイスをすることができます。チャート式の進捗状況を共有することで、計画的な学習が可能になります。

質問アプリも便利です。Studyコーチマナビライトなどでは、分からない問題を写真に撮って送ると、現役の大学生や講師が解説してくれます。夜遅くや休日など、塾が開いていない時間でも質問できるのが魅力です。

AI学習サービスも進化しており、atama+などでは、一人ひとりの理解度に合わせて最適な問題を出題してくれます。チャート式で基礎を学び、AI教材で弱点を補強するという組み合わせも効果的です。

  • 学習管理アプリで毎日の進捗を記録する
  • 質問アプリを夜間や休日の質問に活用する
  • オンライン自習室で集中できる環境を作る
  • 定期的に模試や実力テストを受けて実力を確認する

これらのサービスを上手に組み合わせることで、チャート式の学習効果を最大化できます。自分に合ったサポート体制を整えることが、継続的な成績向上につながります。

よくある質問と悩み

チャート式を使っている多くの高校生が、同じような悩みや疑問を持っています。ここでは、よくある質問とその解決策を紹介します。あなたの悩みも、きっとここで解決できます。

複数の色を同時に使うべきか

「黄チャートと青チャートを両方やったほうがいいですか」という質問をよく受けます。結論から言うと、基本的には1色に絞ることをおすすめします。複数の色を中途半端にやるよりも、1色を完璧に仕上げるほうが効果的です。

ただし、例外もあります。数学が得意で時間に余裕がある人は、黄チャートで基礎を固めた後、青チャートで応用力を伸ばすという使い方もできます。この場合、黄チャートは全ての問題を解く必要はなく、例題だけを素早く終わらせるのが効率的です。

また、分野によって色を変えるのも一つの方法です。例えば、得意な分野は青チャート、苦手な分野は黄チャートというように、自分の実力に合わせて使い分けることもできます。ただし、この方法は管理が複雑になるので、計画的に進められる人向けです。

時間が限られている受験生は、自分のレベルより少し上のチャートを1色選び、それを徹底的にやり込むのが最善策です。青チャートが難しすぎると感じたら、無理せず黄チャートに変更する勇気も必要です。

全ての問題を解く必要があるか

チャート式は問題数が多く、全てを完璧にするには膨大な時間がかかります。実は、全ての問題を解く必要はありません。効率的な使い方を知ることが大切です。

まず、例題は必ず全て解くようにしましょう。例題は基本的な解法パターンを学ぶためのものなので、飛ばしてはいけません。一方、練習問題は例題が完璧に理解できていれば、一部を飛ばしても構いません。

EXERCISES(章末問題)については、時間に余裕がある人だけが取り組めば十分です。これらは難易度が高く、基礎が固まっていない段階で無理に解く必要はありません。過去問演習の時期になってから、必要に応じて戻ってくるという使い方もできます。

問題の種類優先度取り組み方
例題最優先全て解く(必須)
練習問題重要例題が理解できたら一部省略可
EXERCISES余裕があれば応用力を伸ばしたい人向け
総合演習必要に応じて過去問演習期に戻ってくる

志望校のレベルによっても、どこまで解くべきかが変わります。MARCHレベルなら例題と練習問題で十分ですが、旧帝大レベルを目指すならEXERCISESまで取り組む価値があります。自分の目標に合わせて、柔軟に調整しましょう。

何周すべきか

「チャート式は何周すればいいですか」という質問も多く寄せられます。理想的には3周以上が目安ですが、ただ周回数を増やせばいいというわけではありません。

1周目は、全ての例題と練習問題に取り組みます。この段階では、理解することが最優先で、完璧を目指す必要はありません。分からない問題があっても、とりあえず最後まで進めることが大切です。

2周目は、1周目で間違えた問題や理解が浅かった問題を中心に復習します。スラスラ解けた問題は飛ばしても構いません。この段階で、解法パターンを頭に定着させることを意識します。

3周目以降は、定期的な復習という位置づけです。全ての問題を解き直す必要はなく、苦手な問題や忘れやすい問題だけをピックアップして解きます。完璧に理解できた問題は、もう解かなくても大丈夫です。

  • 1周目は全体を通して解く(2〜3ヶ月)
  • 2周目は間違えた問題を中心に(1〜2ヶ月)
  • 3周目以降は苦手問題のみを定期的に(入試まで継続)
  • 合計で5周以上解いた問題は、完全に身についている

重要なのは、周回数ではなく理解度です。10周しても理解できていなければ意味がありませんし、逆に2周で完璧に理解できればそれで十分です。常に自分の理解度をチェックしながら進めましょう。

途中で挫折しそうな時の対策

チャート式は分厚く、途中で挫折してしまう人も少なくありません。モチベーションを保ち続けることは、受験勉強で最も難しい課題の一つです。

まず、目標を細かく設定することが重要です。「青チャートを終わらせる」という大きな目標だけでなく、「今週中に関数の章を終わらせる」「今日は例題10題を解く」といった小さな目標を立てます。小さな達成感を積み重ねることで、継続しやすくなります。

進捗状況を可視化するのも効果的です。カレンダーに毎日の勉強時間を記録したり、チャートのページに付箋を貼ったりすることで、自分の頑張りが目に見えるようになります。スタディプラスなどのアプリを使うのもおすすめです。

仲間を作ることも、モチベーション維持に役立ちます。同じようにチャートを使っている友達と進捗を報告し合ったり、勉強会を開いたりすることで、一人では続かないことも継続できます。オンラインのコミュニティに参加するのも良い方法です。

どうしても続かない時は、一時的に休むことも必要です。無理して続けて、数学が嫌いになってしまっては元も子もありません。2〜3日休んで、気分転換してからまた始めるという柔軟性も大切です。

  • 1日の目標を達成可能な範囲に設定する
  • ご褒美システムを作る(1章終わったら好きなことをする)
  • 苦手な分野と得意な分野を交互にやる
  • 完璧主義にならず、70〜80%の理解で先に進む

このような工夫を取り入れることで、挫折せずに最後まで続けられる可能性が高まります。継続は力なりという言葉を信じて、少しずつでも前に進んでいきましょう。

まとめ

数学チャート式は、自分のレベルに合った色を選び、正しい方法で継続的に使うことで、確実に実力を伸ばすことができます。白・黄・青・赤の4色から、現在の実力と志望校に合わせて選びましょう。

効果的な学習法は、例題をしっかり理解し、練習問題で定着させ、適切なタイミングで復習することです。全ての問題を完璧にする必要はなく、重要な問題を確実に身につけることが大切です。

また、チャート式だけでなく、共通テスト対策問題集や過去問、必要に応じて塾や予備校を組み合わせることで、より効率的に学習できます。自分に合った学習環境を整え、計画的に進めていきましょう。

途中で挫折しそうになることもありますが、小さな目標を立て、進捗を可視化し、仲間と励まし合うことで、継続することができます。数学の成績向上には時間がかかりますが、正しい方法で努力を続ければ、必ず結果はついてきます。

塾探しの前に、まずはチャート式で自分の実力を確認し、必要なサポートが何かを見極めることから始めてみてください。この記事が、あなたの数学学習と志望校合格の助けになれば幸いです。